学校暦消失のインパクト

どうも!まっつんです。緊急帰国からあっという間に5ヶ月が過ぎました。日本と同様にケニアも油断できない状況が続いています。今回は帰国後のケニアの様子や、学校暦消失という政府の大胆発表で子どもたちの生活はどう変わったのか、についてお伝えしたいと思います。

ケニアは今どんな状況?

初めてCOVID-19の感染者が確認されてから、じわりじわりと新規感染者が増え、4ヶ月後には感染者合計が1万人を超えました。その約1ヶ月後(8月中旬)には3万人を超える状況となりました。そして2020年9月5日時点の感染者数は34,884名となった他、死亡者は589名に達しました。

感染拡大のペースが早まる状況の中、政府は学校の休校や夜間外出禁止令、バー・ナイトクラブの営業禁止、レストランの時短営業など様々な対策を打ち出しました。ケニア政府によると、8月の陽性率は8%となり、6月の16%に対して減少傾向にあるということです。現在は新規感染者数が落ち着きを見せ始めていることから、ホテルやレストランでの酒類の販売が解禁されたり、飲食店の閉店時間を夜7時から8時に変更したりするなど、少しずつですが制限が緩和されています。夜9時から朝4時までの夜間外出禁止令については延長されるようです。

先日、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領が発表したCOVID-19に関する新たな措置の概要を見てみると、上記のような制限の緩和の他に、“冠婚葬祭への参加許容人数は、これまでの15人から100人にまで拡大する” という項目がありました。一気に増えましたね。感染が再び拡大しないか心配です。

政府の方針では、経済を完全に再開するための陽性率の基準を5%としていて、現在はこの数字に近づきつつあります。制限は徐々に緩和されていきますが、私たちは気を緩めることなく、感染拡大防止に努めないといけませんね。最近はこの状況に慣れてしまって、当初のような予防意識を維持するのが難しいなと感じています。感染のリスクは何も変わっていないのだから、私たちの意識が低くなってしまうと簡単に再拡大してしまうということを忘れずに、生活していこうと思います。書きながら気が引き締まりました。

コロナに怯えている暇はない

ケニアでは、特に都市部において労働市場に占める日雇い労働者の割合が圧倒的に高いのですが、非正規雇用である彼らは職場から手当てや保障が受けられないため、COVID-19の影響をもろに受けています。さらにインフラの整っていないスラムで、一部屋しかない家に大人数で暮らしている人々にとっては、自宅待機や隔離は感染リスクがより高まってしまうという状況を作ってしまっています。感染の疑いがある場合に隔離する部屋がないからです。

また、その日暮らしを余儀なくされている人の中には、1日の稼ぎが200シリング(約200円)程度という人もいて、この金額はその日の食事代にしかなりません。そもそもそんな過酷な状況ということを考えると、現在の悲惨な状況は容易に想像できます。スラムに暮らす多くの人がすでに職を失っているとも言われています。「家族も養わないといけない。コロナの前に飢えにやられてしまう。コロナに怯えている暇なんてない」

スラムの過酷な環境に暮らす人々は、今を精一杯生きています。

「今年は学校なし!」ケニア政府の大胆発表

さて、私たちが日本へ緊急帰国する直前の3月中旬、ケニア政府はすべての学校の休校を発表しましたが、その後の展開がとっても大胆でした。休校から4ヶ月を迎えようとしていた7月7日、それは発表されました。

「今年の学校暦は消失したとみなし、初中等学校を来年1月に再開する」

ざっくり説明すると、今年はみんな留年です。大胆!
ちなみにケニアの学校暦は1月から11月まで。つまり約1,500万人の児童・生徒を全員留年させて、新年度が始まる来年1月から仕切り直そうというもの。日本の高校・大学入試にあたる統一試験も今年は実施しないそうです。一方で大学は状況に応じて再開するようです。オンライン形式で授業を行うことが推奨されているとのことですが、果たして学生はみんな参加できるのだろうか。PCを持っていない人や通信環境が整っていない人、けっこういる印象なんですけどねー。

初中等学校については、再開に向けて協議・調整が進められていたそうですが、多くの学校は教室が手狭なため、子ども同士で1.5メートルの距離を空けるのが難しいというのが大きな要因のようです。確かに、私が活動していた学校も狭かった!日本と同じくらいの教室に50人以上の生徒がいるわけですから、3密の回避は難しいと思います。

休校となってからは、政府からオンライン・ラジオ・テレビ等を活用して自宅で学習できるようなプログラムが提供されていて、各自で学習を進めるといった取り組みを進めていますが、ネット環境どころかテレビ等で学習を進める環境すら整っていない家庭も多く、そもそもこれを活用できる子どもはかなり少ないのが現状です。そのことも、学年を進めずに来年度もう一度同じ学年で再スタートすることになった一因と言われています。

学習を進められない子どもたちに、政府は…

そんなわけで、突然の休校からそのまま留年を言い渡された子どもたち。富裕層などのオンライン学習が可能な環境に暮らす一部の子どもたちは、提供されたコンテンツで各自勉強をしているのですが、大部分の「学習機会がない子どもたち」は一体どういう状況なのでしょうか。私がケニアで一緒に働いていたコンピュータ教員に話を聞いたところ、これまた驚きの回答がありました。

親から学びなさい。料理・家畜の世話・掘る植える育てる等の農作業・地元のことや地域の伝統、あらゆることを学ぶのだ!

と、政府が言っているそうです。やっぱ大胆!

仕方のない状況ですよね。人生は学びの連続だ、とか何とか言いますけど、単純に、めちゃくちゃ忙しそうじゃんコレ、と思ってしまいました。しかも勉強したくてもできないっていうこの状況は相当のストレスだと思います。ケニアの子どもたち本当に学習意欲が高いなとずっと感じていたので、学校で勉強できる日常が早く戻ることを祈るばかりです。でも今は、家のことしっかり手伝って多くのことを学んでください。この経験は絶対無駄ではないから。

ということで、今回は最近のケニアの様子を少しばかり紹介しました。私自身、いつケニアに戻れるかわからないし、もしかしたら戻ることもできないかもしれないという状況ですが、やれることを少しずつやっていこうと思います。最近の私の活動については、また近いうちにお伝えできればと思います。

それでは皆様、くれぐれもご自愛ください。
Tutaonana Baadaye!

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MatsubaraYoshihide

愛知県名古屋市出身。高校商業科教員が現職教員特別参加制度でJICA海外協力隊に参加しています。 現在はケニア西部のマセノでPCインストラクターとして活動中。ケニアンライフをバシバシ発信していきますよ~!

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