ケニアの高校スポーツ大会

どもども。まっつんです。
1月から新年度がスタートしたケニアでは、現在Term1(日本の1学期)の真っ只中。昨年末のTerm3とは打って変わってとっても活発です。特にTerm1はスポーツ系を中心とした活動を行っていて、大会に出場する生徒たちは授業後に元気もりもり練習しているのですが、ラグビー・ハンドボール・サッカー・バレーボールといった球技、さらには短距離・長距離・やり投げ・砲丸投げ・幅跳び・三段跳び、そして走高跳などの陸上競技まで、驚くほど幅広いです。

これは部活動なのか?

日本の学校生活では部活動が身近な存在ですが、世界的に見ると特に運動部活動は日本独自の文化であると言われています。遠い記憶を辿ると、小学生の頃から授業後には部活があるというのが当たり前で、中学・高校でも多くの生徒が部活動に参加していました。当時の私の感覚としては、部活動があったから学校生活が豊かなものになったと思っていました。あ、部活やってない人が充実してないとかそういう意味では全くありません!
日本で言うところの部活動って、他の国ではどうなんですかね。調べてみると、青少年スポーツという位置付けで大きく3つに分類されているということがわかりました。一つ目は学校の運動部活動が青少年スポーツの中心となっている「学校中心型」、二つ目は地域のクラブが中心となっている「地域中心型」、そしてその両方で青少年スポーツが行われている「学校・地域両方型」です。日本を含むアジアの数か国が学校中心型で、世界的にはかなり少ないようです。しかも日本以外の国は、地域のクラブが未発達なことが学校中心となっている理由だそうで、しかも一握りの生徒(エリート層?)しか参加しておらず、運動部活動そのものの規模が小さいという特徴があります。そのことからも日本の運動部活動が独特だということがわかります。また、学校ではほとんど青少年スポーツに関わっていないという地域中心型も少ないながら存在しています。そして多くの国々、特に欧州の大部分や北米では両方型となっていて、学校の運動部活動と地域のクラブ両方でスポーツを行っています。ただ、そのうちのほとんどの国では学校の運動部活動よりも地域のクラブの方が規模が大きく活動も活発です。
ここケニアは「学校・地域両方型」とのこと。学校では基本的に生徒が自主的に練習を行っていて、顧問のような指導者はほとんどいません。なので日本のような部活動ではなく、“スポーツを楽しむ”ことが中心となっているように感じます。それでもレクリエーションというほどの軽さではなく、生徒は本気で勝ちにいってますが。

日本の部活動改革は進むのか?

文部科学省は、将来的に部活動を学校から地域に移行させる案を示しています。教員の負担軽減にもつながる「働き方改革」として注目を浴びていますが、どうなっていくのでしょうかね。日本独自の文化として根付いている学校部活動、この裏には部活動が学校教育と密接に関わっていて、指導目的も欧米とは大きく違います。専任のコーチを雇って競技力の向上を第一とする欧米、それに対して日本は人間形成が第一。学校の中で、誰もが参加できるシステムだったからこその考え方ですよね。日本における部活動の存在意義はとっても大きいものだと思います。でも、指導経験がないのに顧問になるとか、本来の教員としての業務に支障が出るほど忙しいとか、たくさんの問題があるのも事実。部活の指導をやりたくて教員になってる人もけっこう多いと聞きますし、現場の声を無視せずにバランスの取れた改革を進めてほしいものです。今後の文科省の舵取りを見守るしかないですね。

スポーツ大会に同行してみた

今回同行した大会は地方大会ほどの規模でしたが、勝っても次に進むということはなくこの大会で終了というもの。大会によっては、カウンティ(県のような感じ)の大会に進み、さらに勝ち抜くといよいよ全国大会出場というものもあります。
大会当日、学校からスクールバスで会場へ向かいます。乗っているのは選手と応援したい生徒たち。平日なので、勉強したい生徒は学校に残っていいらしい。学校に残る先生が授業を担当するらしいのですが、少ない人数でもいつも通り授業が進められています。授業受けてない生徒はあとで自己学習で追いつくしかないらしい。なかなか過酷ですよね。

ということで会場に到着。ギンギラギンの太陽の下で、元気に頑張っていました。トラックは油で線が引かれています。陸上競技に出場するほとんどの生徒が裸足です。芝生とは言えこれでまともに走れるのかと心配でしたが、そんな心配はするだけ無駄でした。

うちの生徒がんばってます!

女子砲丸投げは8メートルで2位、男子やり投げは56メートルで優勝。うん、なかなか頑張ってるじゃない!応援にも力が入ります。
特に盛り上がっていたのが100メートルや5000メートル。そこで私ふと思いました。ケニアの高校生の身体能力はどうなんだろうと。ということでタイムを計測してみました。すると驚きの記録が!

  • 男子5000メートル 13分をきる
  • 女子100メートル決勝 13秒をきる
  • 男子100メートル決勝 10秒をきる

おぉ!好タイム連発!身体能力の高さに驚きを隠せません。

ん?何かがおかしい

さすがだな~と思っていましたが、よく考えてみるとこのタイムはあり得ないんじゃないかと。何かがおかしいと疑い始めました。
だって、どれも世界記録レベルなんですもん。

結論…

距離がテキトー。

ま、公式大会じゃないからこんなもんなのかな。
ケニアだねぇ~

最後にちょっと残念に思ったことを。
長距離競技なんですが、途中で「もうだめだ~疲れた~」と言ってあっさり棄権する生徒が大量発生。特に先頭集団から遅れた生徒。勝てないことがわかると頑張らない。負けが先行するとあっさり休場してしまう某横綱を見ているかのような気分になりました。結果だけじゃないと思うんだけどな~。最後までやりきるってすごく大切なことだと思うし、勝てなかったとしてもそこから見えてくるものもあるわけだし、その経験が次へとつながっていくと、私は思うわけです。

それでも全ての生徒がそうというわけじゃなくて、もちろん最後までやりきった生徒もいるので、その姿を見て何かしらの気付きがあれば嬉しいな。

ちょっぴりモヤモヤが残るスポーツ大会でした。
ということで今回はこのへんで。
Tutaonana Baadaye!

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MatsubaraYoshihide

愛知県名古屋市出身。高校商業科教員が現職教員特別参加制度でJICA海外協力隊に参加しています。 現在はケニア西部のマセノでPCインストラクターとして活動中。ケニアンライフをバシバシ発信していきますよ~!

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