ケニアの大自然を満喫!絶景のMt. Kenya(ケニア山)登山

[ 一部加筆修正しました。2020年3月3日 ]

どーもどーも。まっつんです。先日、世界遺産であるケニア最高峰のケニア山へ行ってきました。標高5,199mのこの山はキリマンジャロに次いでアフリカで2番目に高い山です。ケニア山の山頂部はいくつかの峰からなり、通常の登山では4,985mのレナナ峰の頂上でケニア山登頂となります。他は高度なクライミング技術が必要なかなりハイレベルな登山になるので、私たちはもちろんレナナ峰を目指しました。

今回は、私たちのケニア山登山の全貌をご紹介いたします。

行程と費用について

【参加人数】
 隊員仲間計9名
【行程】
 2020年2月17日~20日(3泊4日)…当初の予定は4泊5日でしたが後に変更
 上り:Sirimon Route
 下り:Chogoria Route
【費用(一人当たり)】
 Resident:28,500Ksh(約28,500円)
 Non-resident:495US$(約54,500円)
 チップ:3,000Ksh(約3,000円)

※上記費用には、ナイロビ―ケニア山国立公園間の往復移動(車1台チャーター)、ケニア山国立公園入園料、同行する登山ガイド・コック・ポーター総勢15名の給料、登山中の食費などが含まれています。

※ケニア山国立公園入園料の詳細は以下の通りです。(KENYA WILDLIFE SERVICE Websiteより)

Citizen(大人)
単位:Ksh
Resident(大人)
単位:Ksh
Non-resident(大人)
単位:US$
Day Trip 43077552
3 Days Package1,2902,325156
4 Days Package1,7203,100208
5 Days Package2,1503,875260
6 Days Package2,5804,650312


※レジデント価格とは、ケニア在住の外国人に適用されるもので、私たち協力隊員はワークパーミットを取得してケニアに住んでいるので、観光客価格ではなくこのレジデント価格での支払いとなりました。ですが、よりによって私だけノンレジ扱いです。なぜなら手続きの遅れで未だにワークパーミットが取得できていないから(泣)間に合うと思ったんだけどな~。それにしても差がすごい!

※本来チップは任意ですが、参加メンバーで相談して一律この金額を集めることにしました。

出発前日

高山病予防のためにダイアモックスという薬を飲み始めました。街の薬局で買うことができます。1錠50Ksh(約50円)でした。1日1回1錠、もしくは半錠を1日2回にわけて服用します。この薬、高地で生じる脳内の低酸素状態が改善される薬で高山病を対策する物ですが、有効なのはほんの軽い急性高山病の初期だけなので完全に予防できるわけではありません。でも少しでも安心したいので飲みました。副作用として手足にしびれを感じることがあると聞いていたのですが、私の場合は登山中含め一切出ませんでした。
そして荷造りについて。今回の登山では心強いポーターがいるので、自分が背負う荷物とポーターに運んでもらう荷物に分けてパッキングします。が、私ケニアにはザック1つ(長年愛用しているARC’TERYX Kata45)しか持ってきていなかったので、この日の昼にスポーツ用品量販店へ行って50Lのザックを購入しました。登山中に必要なもの(水、行動食、カメラ関係、防寒具、レインウェア等)を自分用のザックに入れ、それ以外のもの(着替えやピークアタック時に必要な厚手のダウン等)はポーターに預けるザックへパッキングして準備完了。

1日目

朝7時頃、チャーターした車が隊員連絡所(ドミトリー)に到着。せっせと荷物を積み込んで、いよいよケニア山国立公園に向けて出発です。まずはここから4時間くらい揺られてケニア山西部に位置する都市Nanyukiまで移動しました。昼食は美味しいニジマスが食べられると評判のTrout Tree Restaurant。養殖もしているようで、確かに評判通り新鮮で美味しかったです。

美味しい料理を楽しんだ後、車でさらに20分ほど移動。ここで今回の登山ガイドと合流し費用の支払いを済ませました。ここでは登山グッズのレンタルもやっているので、用意できなかったアイテム(寝袋、レインウェア(大)、グローブ(厚手)、登山ストック等)を無事に確保することができました。5日間のレンタルで総額4,250Ksh(約4,250円)でした。こうしたレンタル屋さんはタンザニアのキリマンジャロ登山でも同様らしいのですが、頭の天辺から足の爪先まで登山に必要なものが一通り揃っていました。なのでこの登山のためだけに登山グッズを全て購入しなくちゃいけないなんてことはありません。何とかなりますよ、品質はそこそこですが。だけど個人的にはレンタルだけで乗り切るというのはお勧めしません。サイズとか色の好みとか、あと一番嫌なのは使い始めてみて体に合わないと判明することですかね。特に靴はサイズだけじゃなく足の形が合わないがために痛みが出てしまう場合があります。登り始めてから痛くなってはどうしようもないし、せっかくの登山なのにテンション下がりまくりですよね。今回の登山では靴で失敗した人はいませんでしたが、なんとソックスでアレルギー反応が出てしまって使えなかったという人がいました。せっかくレンタルしたのに悔しいですね。

と、ここでガイドから突然の提案が。

「小屋泊の予定だったけど、フレキシブルに対応できるテント泊にしない?」

「小屋泊だと絶対そこまでたどり着く必要があって、ペースが遅れたら到着時間も遅くなるし体もキツいよ。テント泊ならちょうどいい距離で休むことができるし、なんてったって快適だぞ!どうだ!?」

となぜかこのタイミングで猛烈に変更を勧めてくる。
うーん、なにか裏があるのかと勘ぐってしまったけど、言っていることは納得できるし、9人という人数での登山ということもあり、ミーティングの結果「テント泊」に変更することになりました。結果としてはこれが大正解でした。

ということで一行はケニア山国立公園Sirimon Gateへ。いよいよ登山開始!

17時頃に登山開始。スタート地点のSirimon Gateは標高2,650m。宿営地のJudimere Campsiteに向けて歩き始めてしばらくすると、ガイドが「赤道をまたぐぞ!」と声をかけてくれました。ボロボロの看板には確かにEQUATORの文字が書いてありましたが、言われないとわからないレベル(笑)  そして舗装された道を歩き続けること3時間、1日目の宿営地Judimere Campsite(標高約3,300m)に到着しました。

ポーター達に迎えられたキャンプサイトでは、すでにテントの準備も終わっていました。ダイニング用の大きなテントに案内されると、温かい飲み物とフルーツが登場。有難いねぇと感動しているとさらに夕食が登場。この日は白身魚のフライ、ジャガイモ、野菜炒め。普通に美味い。こんな贅沢な登山でいいのかしら。
夕食後、21時半頃に星空を撮影。綺麗でした。こうして1日目が終了。

2日目

朝7時半に朝食。ダイニングテントへ行くとすでに温かい飲み物とフルーツが!朝からテンション上げてくれますね~。そしてケニア定番のUji(ウジ)を持ってきてくれました。英語で言うPorridgeです。原材料は、Soya(大豆)、Ground Nuts(ピーナッツなどのナッツ類)、Finger Millet(ヒエ・アワ)、Sorghum(ソルガム)、Peas(豆類)などなど、栄養価が高くスープのような食べ物で、ケニア人が大好きな国民的飲み物(いや、食べ物か?)です。余談ですが、Ujiは「食べる」のか「飲む」のかどっち? とケニア人に聞くと半々に意見が分かれるのでなかなか興味深いです。

Ujiを満喫しているとさらにソーセージや卵焼き、野菜やチャパティが運ばれてきました。しっかり朝ごはんを食べて登山2日目がスタートしました。

サンドイッチとリンゴの入ったランチパックを受け取り、8時半頃登山開始。この日は標高約4,200mのShiptons Hutまで、途中ランチタイムを挟みながら8時間越えのハイクとなりましたが、天気にも恵まれて、数々の高山植物とそれらを含めた素晴らしい景色が広がるケニア山を楽しみながら登ることができました。

そしてこのあたりから酸素の薄さを実感しました。しっかり息を吸い込んでも落ち着く感じがしないんですよね。もっと酸素をくれ!と体が言っているのがわかりました。日本では感じたことのない感覚でした。

そんなこんなで、17時頃に宿営地Shiptons Hutに無事到着。
間近にそびえるレナナ・ピークを眺めながら大自然に身を委ねる、あぁなんて幸せな時間なんだろう。と一人勝手に浸っていました。そして楽しみにしていた夕食、この日は温かいスープ・チキン煮込み・野菜炒め・グリーンピース入りライスでした。

夕飯が終わる頃、ガイドがやってきてまた突然の提案が。

「みんな体調崩してないなら、明日の高地順応をやめてピークアタックにしないか? 明後日のピークアタックだと、実は天気が少し心配なんだ。泊数も1日減るし、どうだ!?」

この提案にはみんなビックリ。当初の予定は4泊5日の行程で、3日目は体を高地環境に慣れさせるための順応日。明日は少し登って同じキャンプサイトに戻ってきて4日目のピークアタックに備えて超のんびり過ごすはずだったんです。しかも夕食後にそれ言うかね(笑)

で、緊急ミーティングの結果、明朝ピークアタックに挑むことに決定。夜明け前5時半には出発するということで、全然のんびりじゃなくなりました。ということで星空撮影もほどほどに就寝。

3日目

温かい飲み物と軽食を食べた後、5時半にピークアタック開始。雪が舞う中、ヘッドライトの明かりを頼りに一歩ずつ確実に頂へ近づいていきます。こまめに休憩をとりながら登っているうちに夜が明けました。山頂で日の出を見るというミッションは失敗に終わりましたが、曇っていたので間に合ったとしても見れてないんですよね。次回の登山までお預けとなりました。

そして7時頃、9名全員が登頂!

4,985mのレナナ峰の頂上で喜びを分かち合いました。
山頂は吹雪いていてかなり寒かったのですが、雲が切れるかもしれないということでしばらく待機することに。20分くらい待ちましたが回復の兆しが見られず、残念ながら下山を始めることになりました。
天候がどうであれ、この達成感はハンパないですね。嬉しかったな~

8時頃に下山を開始した私たちは、途中で朝食休憩を挟みながらこの日の宿営地Mintos Hut(標高約4,300m)に向かいました。下りはChogoria Routeでケニア山東部のChogoria方面へ歩みを進めていきます。12時半頃にMintos Hut無事到着。しばらく休憩した後、14時頃に昼食。ペンネパスタ美味しかった~。

16時頃から絶景ハンティングという名のハイキングに出かけました。近くにはかなり大きな崖があり、この断崖から Lake Michaelson を見下ろすことができました。ケニア山の雄大な自然を肌で感じながら、やっぱり山に入ったらこうしてのんびり過ごすのがいいなぁと思いました。1時間程のハイクが終わると、私を含めた数人はキャンプサイトには戻らずに、サンセットの絶景を写真に収めるべく、近くの小湖 Hall Tarns の湖畔でその時が来るのを待ちました。

湖面に映る“逆さKenya”と、山頂に太陽が沈む瞬間の“ダイアモンドKenya”を何としてでも撮影したい!と意気込んでいましたが、少し風が出ていたので綺麗な逆さKenyaは撮影できず。さらに山頂に少し雲がかかってしまってダイアモンドKenyaも見ることができませんでした。これも次回のお楽しみですね。

キャンプサイトに戻った19時頃に夕食。温かいスープと野菜たっぷりのパスタ。体が温まります。この日はケニア山で過ごす最後の夜ということで、いつもより気合いを入れて星空撮影に臨みました。この3日間で少しは上手く撮影できるようになったと思います。(がいかがでしょうか?)

4日目

ついに最終日を迎えてしまいました。山頂で日の出を拝むことができなかったので、この日の朝、日の出リベンジを敢行することになりました。
朝6時過ぎ、一緒のテントで寝ていた同期隊員が起こしてくれたおかげでなんとか日の出前にテントから出ることができました。天気は良好、最終日の朝にしてこれは期待に胸がパンパンに膨らみます。近くにある小さな湖を見下ろすようにそびえる岩を登って目的地に到着すると、もう間もなく太陽が顔を出すんじゃないかというタイミングでした。間に合った!

バッチリ写真に収めることができました~!
綺麗な朝日、赤く染まったケニア山、肌に感じる太陽の温度、新しい一日の始まりを告げる最高のサンライズでした。
テントに戻って下山の準備をしたら、8時頃に朝食が届けられました。温かくて美味しいUji・フレンチトーストのようなトースト・パンケーキにバナナが入ったやつ・ソーセージ・キャッサバ・卵焼き・フルーツ、いやーなかなか豪華。しかもこの日は初めて外で食事しました。ちょっと寒かったけど気持ちいいね。

9時過ぎには下山を開始。景色を楽しんだり高山植物を撮影したりしながら山を下ること約6時間、ついにChogoria Routeの玄関口であるChogoria Gateに到着しました。標高は2,950mです。お疲れさまでした~!

そしてそのまま昼食に突入。温かいスープと大量のインスタントヌードルが出てきたのが意外でしたが、ジャンクフード最高!(笑)

帰りがけにまさかの遭遇!

Chogoria Gateでの記念撮影を終え、車に乗り込みChogoria townまで行くためケニア山の麓を爆走中、突然車がスピードを落としたのでふと窓の外を見てみると…

遭遇してしまった。

ニュースで存在は知っていたが、まさかここにいるなんて。

以下、Instagramから。
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現在アフリカ東部でバッタの大量発生によって農作物に甚大な被害が出ています。ここケニアでは70年に一度と言われるほど大規模な群れが襲来し、隣国ソマリアでは国家非常事態宣言も発表されるなど、深刻な事態となっています。
実際に遭遇して、バッタの大きさにビックリ。まぁまぁでかいから怖い。車にぶつかるとバン!バン!と大きな音が。サバクトビバッタというらしい。最も被害が深刻なケニアでは、1,000億から2,000億匹ものバッタが広範囲で農作物を襲っているようです。小さな群れでも1日に35,000人分に相当する食料を食い荒らしてしまうとのことで、深刻な食糧不足に直面しています。国連によって、殺虫剤の散布や食糧支援といった支援策が打ち出されていますが、必要な資金は7,600万ドル。まだ全然足りないようで、各国に資金提供を求めている状態だそうです。
早急な対策、そして被害をできるだけ抑えて、被害に遭われている人々が安心して暮らせるようになることを祈るばかりです。
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車の中から恐る恐る撮影していると、何を思ったかドライバーが車から降りてこのバッタを捕まえ始めるという展開に。数分で戻ってきたからよかったけど、どうなることかとヒヤヒヤしてしまいました。

とにかくケニア山は最高だった!

最後まで色々ありましたが、今回のケニア山登山は本当によかった!ケニアにいるうちに絶対また行こうと、帰りがけにすでに決心したのでした。

Chogoria townに到着したところでチャーター車に荷物を積み直し、レンタルした登山アイテムを返却、最後に全員で記念撮影をして今回の登山は終了となりました。参加メンバー全員がケガもなく元気に登頂でき、最高のケニア山登山となりました。あ~早くまた行きたいな~!

ということで、今回はケニア山登山についてまとめてみました。登ってみたくなりました? 迷ったらGOですよ!(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは!
Tutaonana Baadaye!

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MatsubaraYoshihide

愛知県名古屋市出身。高校商業科教員が現職教員特別参加制度でJICA海外協力隊に参加しています。 現在はケニア西部のマセノでPCインストラクターとして活動中。ケニアンライフをバシバシ発信していきますよ~!

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